ベラミさんのフラッシュバックはひどくなる一方で、些細な事にも過敏に反応するようになった。
「なんで私はいつも大切にしてもらえないの!」「あなたのせいでこなってるのに!」「私にきちんと謝れ!」「どうせ助けてくれないくせに!」「もう消えたい、誰か助けて!!」こんな言葉を嗚咽交じりの発狂めいた口調で何度も発する。
時間は深夜1時。
正直、僕も気を抜くとつい反応してしまいそうになる。「いい加減にしろ!!」って叫びたくなる気持ちをグッと堪えて、ベラミさんの感情の嵐をやり過ごす。
マチ先生に言われた、「NoxさんはNoxさん自身の心も大切にしてあげてください。ベラミさんの感情の嵐はNoxさんのせいじゃありません。ベラミさんが自分自身で乗り越えていかなければならない事です。支える側が潰れないためにも、できる事とできない事の境界線をしっかりと引いてください。」
この言葉に勇気をもらった。今まで、ベラミさんの口調から「僕が何とかしなきゃ」「僕が支えなきゃ」とばかり思っていた。
だけど、何度助けようとしても結局いつもの場所に戻ってきていたし、それが一生続くのかもしれない。でも仕方ないかとさえ思っていた。
今思うと、僕もいっぱいいっぱいだったんだ。
僕自身がベラミさんへのスタンスを変えず、いつも”平常運転”でいる事自体がやがてベラミさんの安全な場所につながっていくそうだ。
とは言え、その間も嵐は僕目掛けてピンポイントで来るわけで。かなりのエネルギーと神経は使うわけです。
でも、無理せず僕は僕を大切にしてあげようと思った。
ベラミさんからしたら、薄情、冷たい対応、何もしてくれないって思うんだろうし、僕も今までそう思ってしまっていたけど、ベラミさんとの未来のために冷たくなったんじゃなくて、境界を引いているんだよ。
そのことにいつか気付いてくれる日がきますように。